庭内の万葉歌碑
鳥のさえずり、川のせせらぎ、木立の中で風を感じながら万葉歌碑を見つめているだけで心が落ち着いていくのがよくわかります。
贅沢なひとときです。
今日は少し時間があるのでひととき、千歳楼の庭内にある「大伴家持、東人万葉歌碑」を眺めて過ごしました。
大伴東人一首
古ゆ 人の言ひくる 老人の
をつとふ水ぞ 名に 負ふ滝の瀬
(昔から人々の良い伝えてきた老人が若がえるという水ですよ。名に背むかぬ滝の瀬よ。)
大伴家持一首
田跡川の 滝を清みか 古ゆ
宮仕へけむ 多芸の野の上に
(田跡川の激流が清らかだから、昔、人々は宮仕え申し上げたのですよ。多芸野のほとりで。)
聖武天皇は740年(天平12年)、藤原広嗣の反乱をさけて伊勢から美濃に行幸され、11月にこの地に行宮をつくり留まられました。この時お供した大伴東人と大伴家持(万葉集の編者といわれる)の作で、
東人は「その名のごとく美しいたきの瀬だ。」
家持は「清らかな流れをみて宮仕えされたのですよ。」と、先帝元正天皇の行幸された昔を偲んでいます。ともに万葉集に収録されています。
現代でも養老の滝、菊水泉ともに不老不死の若返りの清水として有名ですが、時は遡ること700年代、万葉集の時代から養老の清水が注目されていたのだと改めて実感しました。
かの時代でも疫病や戦、天災などに見舞われ心穏やかではなかったことでしょう。いつの時代でも思い悩むことは一緒のようです。
先人たちが乗り越えてきてくれたおかげで今があります。
私たちだって!と思いたいところですが、事態はなかなか複雑です。
せめて心を寄せ合い、思い合って立ち向かっていきたいと思う今日この頃です。
(ちょっと偉そうですが)